大使紹介 - 日本
大使紹介:ヒルス ベスホー・プルッフ
外交官の道を志したきっかけは何ですか?
子どもの頃から、外国や異文化に強く惹かれていました。小さい 頃は、中東や極東を舞台にした冒険小説を読み漁り、大学時代になると旅行記や海外文学にも手を広げました。外務省で働き、海外に派遣されるというのはとても魅力的で、変化に富んだ多様な仕事に携われると思いました。そして何より、公務員として政府に仕え、社会全体のために働くという考えにも惹かれました。
お仕事以外の自由時間はどのように過ごしていますか?
東京に駐在しながら、日本や日本の人々を知ることができるのは、とても恵まれたことだと感じています。観光で数日訪れるのとは違い、実際に住むことでその国を深く理解できるからです。東京は本当に大きな街なので、まだまだ発見の連続ですが、これからは日本各地にも足を伸ばしたいと思っています。やはり、日本は東京だけではありませんからね。
それに、良い外交官、そして政府の的確なアドバイザーであるためには、駐在国のことをよく知らなければなりません。
オランダ、または日本の歴史上の人物の中で、もし一人を夕食に招待できるとしたら、誰を選びますか? その理由も教えてください。
画像:ヒルス ベスホー・プルッフ大使が天皇陛下に信任状を捧呈する様子
間違いなく、長崎の出島における最初の「オッペルホーフト」、つまりオランダ使節団長だったヤックス・スペックスを招待したいですね。彼は1609年に日本に到着し、徳川家康将軍から通商許可証を授けられました。これにより、オランダは西洋諸国の中で唯一の国として、日本と自由に貿易を行うことができるようになったのです。
通行証の原本は、現在オランダの国立公文書館に保管されていますが、東京のオランダ大使公邸にもコピーがあります。ある意味で、スペックスは私の遠い前任者とも言える存在です。天皇陛下に信任状を捧呈した際には、日本に赴任した歴代のオランダ使節の末席に自分が連なっていることを感じ、身の引き締まる思いがしました。
通行証の原本は、現在オランダの国立公文書館に保管されていますが、東京のオランダ大使公邸にもコピーがあります。ある意味で、スペックスは私の遠い前任者とも言える存在です。天皇陛下に信任状を捧呈した際には、日本に赴任した歴代のオランダ使節の末席に自分が連なっていることを感じ、身の引き締まる思いがしました。
大使として東京で生活し、働く中で、特に印象に残っていることは何ですか?
最も印象的なのは、伝統と革新が見事に融合し、ときには対照的に存在していることです。これはひとつの側面というより、むしろひとつの視点であり、私はそれを直接的な意味でも哲学的な意味でも、深く敬意をもって見ています。
(非常に)古いものと(非常に)新しいものがあること、あるいはそれらが隣り合って存在していることは、過去と現在をつなぐ社会の正当な基盤を感じさせてくれます。それは、保守的な意味での美しさや安らぎにもつながっています。
もちろん、こうした伝統と革新の間には、時折どうしても緊張や葛藤が生まれることもあります。それを理解した上で、両者の間をうまく橋渡しすることも、外交官としての重要な役割だと感じています。
(非常に)古いものと(非常に)新しいものがあること、あるいはそれらが隣り合って存在していることは、過去と現在をつなぐ社会の正当な基盤を感じさせてくれます。それは、保守的な意味での美しさや安らぎにもつながっています。
もちろん、こうした伝統と革新の間には、時折どうしても緊張や葛藤が生まれることもあります。それを理解した上で、両者の間をうまく橋渡しすることも、外交官としての重要な役割だと感じています。
現在、オランダと日本の協力において、特に注力されているのはどのような領域ですか?
画像:大阪・関西万博会場の建築物(大屋根リングの一部)
先ほど触れたヤックス・スペックスの時代から、日蘭関係の基盤は「貿易」にあります。そして現在も、その本質は変わっていません。ただし、現代における貿易には、研究開発、投資、イノベーションといった重要な要素が含まれています。
オランダと日本は現在、半導体、量子技術、フォトニクス、デジタル化、AI、5G・6Gといった最先端分野で緊密に連携しています。そして、この協力は非常に幅広く、政府や企業、民間団体、学術機関を含めた多層的な連携により、最大限の効果と影響力を目指すものです。
最近では、こうした協力に「安全保障」の視点も加わるようになりました。経済安全保障は、たとえば重要鉱物資源などに代表されるグローバルな相互依存や、先端技術の推進と保護など、多岐にわたるテーマを含んでいます。
また、オランダは国際法の分野にも積極的に取り組んでいます。法の支配、国際的な刑事責任、海洋の自由といったテーマにも日本と共に関与しています。
そして何より、両国の425年(2025年で425周年)にわたる長く深い関係を背景に、文化交流は常に重要な柱となってきましたし、今後もそれが続く見通しです。
オランダと日本は現在、半導体、量子技術、フォトニクス、デジタル化、AI、5G・6Gといった最先端分野で緊密に連携しています。そして、この協力は非常に幅広く、政府や企業、民間団体、学術機関を含めた多層的な連携により、最大限の効果と影響力を目指すものです。
最近では、こうした協力に「安全保障」の視点も加わるようになりました。経済安全保障は、たとえば重要鉱物資源などに代表されるグローバルな相互依存や、先端技術の推進と保護など、多岐にわたるテーマを含んでいます。
また、オランダは国際法の分野にも積極的に取り組んでいます。法の支配、国際的な刑事責任、海洋の自由といったテーマにも日本と共に関与しています。
そして何より、両国の425年(2025年で425周年)にわたる長く深い関係を背景に、文化交流は常に重要な柱となってきましたし、今後もそれが続く見通しです。
オランダと日本が共に取り組んでいる課題には、どのようなものがありますか?
私の考えでは、オランダと日本は豊かな先進国として、世界全体が直面しているグローバルな課題に対してリーダーシップを発揮し、責任を持つべきだと思っています。私たちの世代は、気候変動、エネルギー転換、健康問題といった重大な課題を解決できていません。こうした巨大な課題を、子どもたちの世代に託さなければならないことに、恥ずかしさを感じています。
これらは決して一国だけで解決できる問題ではありません。だからこそ、価値観を共有する国々と真剣に連携し、現実的な解決策を見つけていくことが不可欠なのです。
これらは決して一国だけで解決できる問題ではありません。だからこそ、価値観を共有する国々と真剣に連携し、現実的な解決策を見つけていくことが不可欠なのです。
今年、大使館が予定しているイベントや取り組みの中で、特に楽しみにしているものは何ですか?
画像:大阪万博のオランダパビリオンと大使館・総領事館職員の集合写真
やはり一番楽しみにしているのは、2025年に大阪で開催される「大阪・関西万博」です。先ほどお話ししたようなさまざまな課題に対して、日本とオランダ、そして他の国々が力を合わせて解決策を模索する、まさにその舞台となるはずです。政治的に不確実性の高い状況における、新しい時代の幕開けです。
万博のテーマは「いのち輝く 未来社会のデザイン」であり、オランダ館のテーマは「コモングラウンド(共通の基盤)」です。このテーマが示しているのは、「私たちは協力しなければならない」というメッセージです。オランダは非常にモダンで魅力的なパビリオンを設けており、万博期間中には多くのハイレベルな代表団が来日し、大々的なイベントが開催される予定です。さらに2025年は、日蘭交流425周年という記念すべき年でもあります。まさに誇るべき時代だと感じています。